ベネフィットとは?顧客価値を高めるマーケティング術
- info7371576
- 10月21日
- 読了時間: 5分
更新日:10月22日

マーケティングに関わっていると頻繁に耳にする「ベネフィット」という言葉。
しかし、その正確な意味や、「メリット」との違い、そしてビジネス現場でどう活かせばいいのかを自信を持って説明できるでしょうか?
この記事では、ベネフィットという言葉の基本的な意味から、顧客の心を動かすための具体的なマーケティングでの使い方までを、初心者にも分かりやすく解説します。
1. そもそも「ベネフィット」とは?
ベネフィット(Benefit)は、直訳すると「利益」「恩恵」といった意味になります。
これをマーケティングの文脈に置き換えると、「顧客にとっての価値」 や、「その商品・サービスから顧客が得られる、より良い未来や体験」と定義されます。
単なる商品の長所ではなく、顧客が主役の「うれしい変化」そのものを指す言葉です。
2. 「機能」「メリット」「ベネフィット」の決定的な違い
この「ベネフィット」を深く理解するために、よく混同される「機能」「メリット」との違いを、マーケティングの名著「ドリルを売るには穴を売れ」 を例に見ていきましょう。
機能:商品が持つスペックや特徴
⚪︎蔴る「ドリル」そのものが持つ客観的な仕様です。
⚪︎例:「毎分3000回転するモーターを搭載」「リチウムイオンバッテリーで長時間稼働」
メリット:機能から生まれる直接的な利点
⚪︎機能によってもたらされる、商品側の直接的な長所です。
⚪︎例:「毎分3000回転するから、硬い素材でも穴を開けられる」
ベネフィット:顧客が手に入れる価値や未来
⚪︎メリットによって顧客にもたらされる、より良い体験や未来のことです。
⚪︎例:「壁に穴を開けられるから、家族の写真を飾って、温かみのあるリビングを実現できる」
このように、メリットは「商品ができること」という商品主体の説明ですが、ベネフィットは「顧客がどうなれるか」という顧客主体の価値を語る点が決定的に異なります。
3. 【実践編】マーケティングにおけるベネフィットの使い方 ベネフィットを理解したら、次はそれをマーケティング活動に活かしましょう。
① キャッチコピーや動画の文章に活かす
商品説明を「機能」や「メリット」で終えるのではなく、「ベネフィット」に変換して伝えましょう。
例:軽量ノートPCの場合
メリット訴求:「わずか980gの軽量設計です」
ベネフィット訴求:「カフェでも出張先でも、場所を選ばず軽やかに仕事ができます」
② 営業資料やプレゼンテーションに活かす 顧客の課題をヒアリングした上で、それに合致したベネフィットを提示することが重要です。「この機能を使えば、御社の〇〇という課題が解決され、△△という未来が手に入ります」のように、顧客ごとの未来を語ることで、提案の説得力は格段に上がります。
③ 商品開発やサービス設計に活かす
「どんな機能を作るか」から始めるのではなく、「顧客はどんなベネフィットを求めているか」から逆算して開発を進める考え方です。顧客が本当に求める未来を特定することで、無駄な機能を削ぎ落とし、本当に価値のある商品を生み出すことができます。
4. ベネフィットを3種類に分けて深掘りする
ベネフィットは、顧客が求める価値の深さに応じて、以下の3つの階層に分けて考えることができます 。これらを理解することで、より顧客の心に響く商品開発やマーケティングが可能になります。
① 機能的ベネフィット
これは、商品やサービスの基本的な機能や性能から得られる、最も分かりやすいベネフィットです。「便利」「早い」「安い」「頑丈」といった、実用的な価値がこれにあたります。
ビジネスでの活用例:
PC: 「処理速度が速い」→ 仕事がサクサク進み、残業が減る。
掃除機: 「吸引力が強い」→ 掃除の時間が短縮でき、もっと自由な時間が増える。
機能的ベネフィットは商品の土台となる重要な部分ですが、競合他社に真似されやすく、価格競争に陥りやすいという側面もあります。
② 情緒的ベネフィット
商品やサービスを利用することで顧客が感じるポジティブな感情に関するベネフィットです。「楽しい」「安心する」「ワクワクする」「癒される」といった、心の満足感がこれにあたります。
ビジネスでの活用例:
コーヒーショップ: 「落ち着いた空間と良い香りのコーヒー」→ 忙しい日常を忘れ、リラックスできる「安心感」。
テーマパーク: 「非日常的なアトラクションとキャラクター」→ 現実を忘れて楽しめる「ワクワク感」や「幸福感」。
情緒的ベネフィットは、顧客とブランドの間に感情的なつながりを生み出し、ファンになってもらうための重要な要素です。
③ 自己表現ベネフィット
その商品やサービスを所有・利用することで、「自分はこういう人間だ」と表現できる、あるいは「なりたい自分になれる」という価値です。顧客の自己実現や自己表現の欲求を満たします。
ビジネスでの活用例:
高級腕時計: 「ステータスの高い時計を身につける」→ 「成功者である自分」を表現できる。
環境に配慮した商品: 「エコな商品を選ぶ」→ 「社会貢献を意識する自分」という価値観を表現できる。
このベネフィットは、顧客のライフスタイルや価値観と深く結びつき、非常に強力なブランドへの忠誠心(ロイヤルティ)を育みます。
5.顧客のためのベネフィットを考えよう
マーケティングの出発点は、常に顧客です。
商品のスペック(機能)や長所(メリット)を語る前に、まず「この商品によって、顧客の生活やビジネスはどのように良くなるのか?」というベネフィットを徹底的に考え抜きましょう。そして、そのベネフィットの種となる顧客のインサイトを対話の中から見つけ出すこと。このプロセスこそが、顧客から長く愛され、選ばれ続けるサービスを育てるための最も確実な道筋です。
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